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「愛している」のに、触れられない。ハルノ晴先生『あなたがしてくれなくても』レビュー:夫婦の「綻び」と、それぞれの正解を探す旅

漫画『あなたがしてくれなくても』の感想・ネタバレなしレビュー記事のアイキャッチ画像 TLコミック
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「どうして、こんなに好きなのに触れられないの?」

​結婚して5年、レスになって2年。仲が悪いわけじゃない。でも、夫婦の聖域に空いた「穴」は、少しずつ二人の心を蝕んでいく。今夜の『大人の観賞ノート』は、ハルノ晴先生の『あなたがしてくれなくても』をご紹介します。互いのパートナーと抱える同じ孤独から始まった、みちと誠の危うい関係。身勝手さ、脆さ、そして切実な思いやり……。夫婦の綻びから始まる、大人のための痛みの物語をレビューします。

商品情報

  • 作品名:あなたがしてくれなくても
  • 著者名:ハルノ晴
  • レーベル:アクションコミックス
  • 出版社:双葉社
  • 形式:電子書籍

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​​1. はじめに:夫婦という「聖域」に空いた、たった一つの風穴

​こんばんは、管理人のふみです。

「仲は悪くない。会話もある。でも、大切なことが欠けている」

結婚生活を続けていく中で、そんな静かな飢えを感じたことはありませんか? 夫婦という、他人同士が家族になるために築いた聖域。その中心に空いた「セックスレス」という風穴。そこから漏れ出す冷たい空気が、いつしか二人の心を蝕んでいく。

​今日、私の「観賞ノート」に記すのは、そんな大人の抱える深い孤独と切なさを真っ向から描いた作品、ハルノ晴先生の『あなたがしてくれなくても』です。

​これは、誰が悪くて誰が正しいのか、一言では断罪できない。「夫婦のリアル」をこれ以上ないほど突きつけてくる、痛みの物語です。


​2. あらすじ:酒の勢いでこぼした、夫婦の「秘密」

​吉野みち、32歳。結婚して5年、夫・陽一とは穏やかな毎日を送っているつもりでした。けれど、二人の間には2年もの間、肌を重ねていないという「秘密」があります。

​「仲が悪いわけではない。ただ、それがないだけ」。

そんな悩みを、会社の先輩である新名誠に打ち明けた夜、返ってきたのは予期せぬ言葉でした。「うちもレスなんだよね」。

互いにパートナーがいながら、抱える孤独が同じだった二人。偶然の告白から始まったのは、越えてはいけない一線への、危ういほどの接近でした。


​3. 魅力その1:勇気を出した彼女の、報われない「必死さ」

​本作で特に胸を締め付けられるのが、みちさんが懸命に夫婦の距離を縮めようとする姿です。

女性からパートナーに求めていくのは、とても勇気のいること。拒絶されるかもしれないという恐怖を乗り越えて、それでも「妻として」向き合おうとした彼女は、本当に頑張っていました。少し必死すぎたかもしれない。けれど、それはもう心が限界を超えていたからこその切実な叫びです。

それなのに、夫である陽一がとった行動。同僚と関係を持ち、あろうことか「なかったことにしてほしい」と願う無責任さ。あれには、私も読者として激しい憤りを感じました。パートナーの苦しみを知りながら、別の道へ逃げようとする弱さ。最低だと切り捨てるのは簡単ですが、その弱さこそが、この物語の毒であり、リアルなのです


​4. 魅力その2:完璧に見える楓さんの、凍てついた孤独

​誠さんの妻である楓さんもまた、深い孤独の中にいます。

仕事で疲弊し、夫をぞんざいに扱う彼女の姿は、決して褒められたものではありません。けれど、ホテルで下着姿のまま放った「どうぞ。それであなたの気が済むのなら」という言葉には、怒りよりも深い「悲しみ」を感じました。

​自分の弱さを見せられず、全てを完璧にこなそうと自分を追い詰め、夫の愛すらも「見捨てられる原因」にしてしまう彼女の悲痛さ。誰を悪者にすればいいのか分からないほど、登場人物たちはみんな、それぞれの「勝手な事情」で傷ついています


​5. 魅力その3:それでも「夫婦」という枠組みを選び続ける理由

​物語が進むにつれて、陽一も楓も、パートナーに対して少しずつ思いやりを見せ始めます。

「夫婦って、誰と結婚したって妥協点を探し続けなきゃいけないもの」ですよね。

幸せなことばかりじゃない。みんな勝手なところがある。その現実を突きつけられた上で、それでも一緒にいる意味があるのかを問い続けるのが、結婚生活なのかもしれません。

​だからこそ、みちさんと誠さんが相性が良さそうに見えても、「はい、離婚してハッピーエンド!」とはいかないジレンマが、読者の心を揺さぶります。全財産をかけて歩んできたこれまでの道のりを、簡単に捨てることはできない。その苦しさこそが、この作品の真骨頂です。


※「夫婦の聖域」が崩れる瞬間をチェック!二人がたどり着く答えとは?

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​​6. おわりに:幸せの定義は、誰が決めるのか

​ハルノ晴先生の『あなたがしてくれなくても』。

​この作品は、ハッピーエンドを単純に祝福するのではなく、その先にある「幸福とは何か」を私たちに問いかけてきます。

陽一の破綻の可能性に心を痛め、それでもみちさんと誠さんが心から笑える未来を願う。その真っ直ぐな願いは、読者全員の総意かもしれません。

​セックスレスという、誰にも言えない孤独を感じている方。

​夫婦のすれ違いや、パートナーへの憤りを経験したことがある方。

​「愛」と「責任」の狭間で揺れ動く、大人の苦悩を読みたい方。

​もしそう感じているなら、今夜はこの物語の彼らと共に、あなた自身の「幸せの形」についても考えてみてください。誰にも汚されない、あなただけの正解が見つかるかもしれません。

​今夜も、あなたに最高の観賞時間が訪れますように。

管理人、ふみでした。


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